2018年
6月 6日

「うっ血肝とは?」  

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こんにちは。スタッフのまりもですヽ(´▽`*)ゝ

 

うっ血肝とは急性心筋梗塞や肺炎などで、急に心臓のはたらきが低下した急性心不全(しんふぜん)の患者さん、あるいは、心臓弁膜症(べんまくしょう)や高血圧性心臓病で慢性的に心臓のはたらきが悪い慢性心不全の患者さんに生じる肝障害です。

 

血液が循環しないために肝臓に血液がうっ滞(たい)して、肝臓が腫大するとともに、低酸素血症も加わることにより肝臓の組織が障害を受けます。

 

肝臓は、心臓から送り出される循環血液量の約4分の1にも相当する多くの血液が供給されているため、心臓のポンプ作用が低下する心不全、とくに右心不全ではその影響を大きく受けます。

 

また、解剖学的にも、右心房(うしんぼう)と肝静脈が近いために肝静脈は右心房の圧の変化を受けやすく、右心房圧の上昇に伴って、ただちに肝静脈圧が上昇します。

 

その結果、肝内の静脈枝(じょうみゃくし)は圧が高まって拡張し、全身の循環血液量とともに肝臓の循環血液量も減少し、肝臓への酸素供給も低下します。

 

これらの結果、低酸素状態が悪化して肝細胞は障害を受けてしまうのです。

 

肝は低酸素状態を代償する(補う)ために門脈血(もんみゃくけつ)からの酸素摂取を増加させますが、心不全状態が持続すると代償できなくなります。

 

うっ血肝の症状は、下肢のむくみや頸(けい)静脈の怒張(どちょう)(ふくれる)、あるいは呼吸困難などの心不全の症状が前面に現れます。

 

心不全症状に加えて、肝臓が腫大し、肝機能障害を起こします。

 

肝障害は心不全の程度によりますが、時には高度の黄疸が出ます。

 

急性心不全の時の肝障害は一時的なもので、心不全が改善すると肝障害も改善しますが、慢性的に心不全が継続すると肝臓の組織が破壊され、肝障害も悪化し黄疸も強く現れて、最終的には肝硬変から肝不全に至ります。

 

この場合、肝炎ウイルスなど他の原因による肝硬変と区別して、うっ血性肝硬変と呼びます。

 

肝機能検査は、心不全の程度に応じて軽度から高度の異常所見を示します。

 

総ビリルビン値は、通常は1・3mgdl以下ですが、20mgdl以上の高度の黄疸を示すこともあります。

急性心不全では、AST(GOT)優位のトランスアミナーゼ異常がみられ、時には数千単位に及ぶこともあり、慢性心不全では、アルカリホスファターゼの高値がみられます。

 

肝炎ウイルスマーカーは原則として陰性ですが、B型肝炎、C型肝炎の患者さんに心不全が生じた場合は、当然のことながらこれらの肝炎ウイルスマーカーが陽性となるので、B型肝炎、C型肝炎との区別が重要になります。

 

心不全症状がある患者さんに肝機能障害がみられれば、うっ血肝を考えますが、超音波検査やCTなどの画像診断で、この病気の特徴的所見である肝静脈および下大静脈の拡張がみられれば診断は容易になります。

 

しかし、肝炎ウイルスマーカーなど他の検査も併用して、急性肝炎や胆道の病気を否定する必要があります。

 

うっ血肝の治療方法は、その原因となる心疾患に対する治療を行うことが最大の治療です。

 

安静に加え、食事の減塩指導および強心薬、利尿薬などの投与が行われることになるでしょう。

 


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