旬~野菜歳時記<ナス炒り>


ナスの本当に新鮮なもぎたて(もいで数分)だと、生でぼりぼり食べてもおいしいことを知っている人は、令和の世の中にどれくらいいるでしょう。

まあまあ、レシピ本を読めば、ナスを無理やり使った料理が沢山出てきます。だけど、東北の田舎で、ナス料理と言えば、ナス炒り、ナス焼き、ナスのお味噌汁(焼きナスではなくって、そのまま)、ナスの漬物(宮城県では、長ナスという漬物に最適なナスが栽培されています)くらいです。それだけでも、夏中飽きないくらい、旬のナスは調味料極力少量で大量消費ができます。

ナスしかり、キュウリしかり、スイカしかり、基本水分でできています。ナスは、皮があってこそ栄養素が摂取できるといったくらい、あの紫の皮が重要で、あとは、水分です。
ナス炒りを、皮をむいて作るお家もあります。むいた皮は、単体できんぴらにして食べます。ナスは、本当にヘタ以外捨てるところはない、コスパのいい野菜です。

父は、ナス炒りが大好きでした。もちろん、私が作るのも食べてはくれました。しかし、私の料理の原点である祖母のナス炒りが出ると満面の笑み、ニコニコした顔して食べます。とにかく好きですから、大きな丼一つ作っても、父が一人でぺろりと食べてしまうのですね。それに負けまいと、私も食べる。無言の父娘喧嘩の勃発です。

昔は、どこの家でも庭で家庭菜園よりちょっと広い畑をしていたので、ナスは買いません。我が家がお茶のみの場になっていたので、おばあちゃんたちが、各畑自慢のナスを持っていらっしゃいました。もう、おすそわけ大会状態で常備野菜状態で。食べても食べても夏中ナスが台所から消えることはなく、祖母は、何回でもナス炒りを作ることができたのです。
でも、夏休みの私には、父にはできない食べ方がありました。前の晩の残りを冷蔵庫に入れておいて、翌日のお昼に食べることです。父は仕事中。闘いのない平和なお昼に、冷え冷えのしっかり味のしみたナス炒りを食べるのです。これ実はは、素麺にも合います。…幸せ。

ポリフェノールは、抗酸化作用があります。アントシアニンにもあります。つまり、ナスを食べると身体の内部でも、美白作用が働きます。夏の紫外線もナスには負けるかも。

ナスは、冷蔵庫保存よりも、常温保存のほうが持ちはいいです。1日くらいの僅差ですが。ほとんど水分ゆえ、傷みやすい野菜です。新鮮なうちにおいしくめしあがってください。
そして、夏ナスと秋ナスはちょっと違います。この端境期に成る親指くらいのナスで、ナス漬を漬けると、また、ご飯がすすむので、ダイエットの観点からいうと、ナスは水分だけど食べ過ぎにご注意!野菜なのかもしれません。

*秋ナスは嫁に食わすなということわざがありますが、これはあまりのおいしさに姑が嫁にいじわるして食べさせないという説が定着しています。でも、秋あたりは、暑かったり急に涼しかったり若い女性のホルモンバランスが乱れるので、身体を冷やす水分が多いナスは避けた方がいいという思いやりからが、正確な語源のようです。

ナス炒り

作り方はこちらをご覧ください↓
ナス炒り 作り方

文:畠山慧美