「フキノトウ」 薬剤師:白井文隆コラム1
3月になると、寒さも和らいできて、少しずつ温かさを感じられるようになります。
そんな春の旬の野菜といえば「フキノトウ」があります。フキノトウは春の訪れを告げてくれる野菜です。
私が子供の頃、フキノトウは苦くて嫌いな野菜でした。ですが、年齢を重ねるにつれ、美味しさが分かるようになり、今では好きな野菜の一つです。
そんなフキノトウは栄養が満点で、食物繊維、ビタミンE、ビタミンK、カリウム、葉酸、フキノール酸、フキノリドなどの栄養素が多く含まれています。
今回はフキノトウに含まれている成分について説明していきたいと思います。
・食物繊維について
食物繊維とは炭水化物のうち、消化管で消化できない成分のことをいいます。(消化管で消化できる成分を糖質といいます。)
また、食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2つに分類され、フキノトウには不溶性食物繊維が多く含まれています。
不溶性食物繊維は保水性、膨潤性があるため、大腸で水分を吸収し便のかさを増すことで腸の蠕動運動を促し、便通を促進する効果があります。
・ビタミンEについて
ビタミンE(トコフェロール)は脂溶性ビタミンに分類されます。
ビタミンEは体内でほとんど合成されないため食物から摂取する必要がある栄養素です。
生理作用として、抗酸化作用が強く、細胞膜に多く含まれる不飽和脂肪酸の酸化を防ぎ、体内の酸化反応を促進してしまう過酸化脂質の合成を防ぎます。
・ビタミンKについて
ビタミンKも脂溶性ビタミンに分類されます。ビタミンKは、K1~K3の3種類が存在しており、フキノトウにはビタミンK1が含まれています。
生理作用として、血液凝固作用と骨形成作用があります。
血液凝固作用とは、血液を固めるためにはプロトロンビンという血液凝固因子が重要になります。ビタミンKはプロトロンビンの前駆体からプロトロンビンを生成する補酵素として働き血液凝固に関与します。
骨形成に関しては、骨の生成に必要なたんぱく質であるオステオカルシンを活性化させます。そしてヒドロキシアパタイトという骨の主成分にオステオカルシンが結合する際、カルシウムも一緒に結合させ骨の形成を促進させます。
・カリウムについて
カリウムは細胞内に多く存在し、細胞内外の浸透圧の調整などの役割を担っています。
カリウムは血圧調整においても重要な役割があります。そもそも、血圧が上昇する理由として、ナトリウムが体内に多く存在することが1つの原因となっています。カリウムはこのナトリウムを体外に排出し、血圧低下を促すことにより高血圧予防につながります。
・フキノール酸について
フキノトウにはフキノール酸やなどのポリフェノール類が含まれています。
この成分は花粉症などのアレルギー症状を抑えてくれる効果があります。
そもそも花粉症などのアレルギー症状とは、肥満細胞や好塩基球と呼ばれる細胞が存在しています。
体に初めてアレルギー物質などの抗原が体に入ってきた際、肥満細胞や好塩基球に抗体であるIgEが結合します。再び抗原が体内に入ってきた際、細胞からヒスタミンなどのケミカルメディエーターが放出されることで花粉症などのアレルギー症状となります。
フキノール酸はケミカルメディエーターを抑える脱顆粒抑制作用によりアレルギー症状を抑えてくれます。
・フキノリドについて
フキノリドはフキノトウ独特な香りを出す成分です。また、消化液の分泌を促進することで胃腸の動きを活性化することがあると言われています。
春は気温が徐々にあたかかくなり、冬の寒さから体の緊張がほぐれていきます。体がリラックスすると副交感神経が優位になり、食欲が湧いてきます。
春に栄養をたくさん取る際にフキノトウは胃腸をサポートしてくれます。
いかがでしたでしょうか。
フキノトウは、独特のほろ苦さが胃腸を刺激し、食欲を増進させます。
また春先のアレルギー症状の緩和にも役立ちます。さらに、栄養素も豊富で、健康をサポートしてくれる頼もしい存在です。
春の短い旬の時期にしか味わえない自然の恵みを、ぜひ食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
白井文隆