「さつまいも」薬剤師:白井文隆コラム8 

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 夕暮れが少し早まり、暑さもようやく落ち着いてくる9月。衣替えのように、食卓にも小さな秋支度を始めたい頃です。そんな季節に旬を迎えるのが、やさしい甘さの「さつまいも」。焼いても蒸しても、スープやサラダにも合う万能選手で、食物繊維やビタミンC、カリウムなどの栄養もしっかり含まれます。 

今回は、さつまいもに含まれている栄養素の中でも、特に注目されている食物繊維、ビタミンC、カリウム、ヤラピンにスポットを当て、その働きや健康への効果について詳しく見ていきましょう。 

 

【食物繊維】 

食物繊維とは炭水化物のうち、消化管で消化できない成分のことをいいます。 

また、食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2つに分類され、さつまいもには不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランスよく含まれています。 

不溶性食物繊維は保水性、膨潤性があるため、大腸で水分を吸収し便の「かさ」を増すことで腸の蠕動運動を促し、便通を促進する効果があります。 

また、水溶性食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える作用もあります。 

これにより、腸内環境を維持する効果を持ちます。 

 

【ビタミンC】 

ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。 皮膚や骨、血管などの構造を支えるコラーゲンの合成には、ビタミンCが不可欠です。  

ビタミンCには、抗酸化作用があります。  

私たちの体内では日々「フリーラジカル」と呼ばれる活性の高い分子が生成され、細胞のダメージや老化、生活習慣病を引き起こす原因となります。 ビタミンCはその還元力によってフリーラジカルを除去し、体を守ります。 さらに、鉄分の吸収もサポートします。 食品中の鉄には吸収しやすいヘム鉄(肉・魚など)と吸収が難しい非ヘム鉄(野菜・穀物など)があります。 

特に非ヘム鉄に対し、ビタミンCはこれを吸収されやすい2価の鉄(Fe²)へと還元し、小腸での鉄分吸収を助ける働きをしています。これにより全身に運ぶ酸素量が増えるため疲労を感じづらくなります。 

 

 

【カリウム】 

カリウムは細胞内に多く存在し、細胞内外の浸透圧の調整や水分バランスの維持に関わる重要なミネラルです。 
体内におけるカリウムとナトリウムのバランスが崩れると、水分の排出が滞り、むくみや倦怠感の原因となることがあります。 
カリウムは体内のナトリウムを体内の余分な水分と一緒に排出するのを助け、むくみの解消に寄与します。 
これにより、体内の水分調節機能が整い、暑さによって引き起こされやすい“だるさ”や“全身の不快感”を緩和する効果が期待されます。 

 

 

【ヤラピン】 

ヤラピンとは、さつまいもを切ると滲み出てくる乳白色の液体に含有されている成分で、配糖体の樹脂成分です。 

ヤラピンは古くから緩下剤様効果があることが知られており、腸管を適度に刺激することで蠕動運動を促進することで緩下作用を示します。 

また、さつまいもに含まれている食物繊維と相乗作用により、より効果的な便通改善を期待することが出来ます。 

 

いかがでしたでしょうか。 

夏の疲れを癒し、秋を迎える体を整えてくれるさつまいも。おやつや主食、料理の一品にと幅広く活躍するので、この季節ならではの栄養と味わいをぜひ満喫してください。

 


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