細川式トータル健康法
コラム1 人間って何?
私たちの身体は、神秘に満ちており、まだほとんど解明できていないといわれています。身体の中には、約60兆個の細胞があり、それぞれが活動することにより生命活動を維持することができます。
その細胞の中には核があり、その中には身体の設計図が書かれたDNA(ヒトゲノム)があります。
現在、ヒトゲノムの研究は全世界で活発に行われており、人体解明への切り札として注目されています。
2004年「ネイチャー・バイオテクノロジー」10月号に「人間は、ヒトの細胞と細菌からなる『超有機体』である」と発表されました。これは、ロンドン大学インペリアル・カレッジのジェレミー・ニコルソン教授率いる科学者たちの研究です。その内容には、「あなたの体内に存在する細胞のかなりの部分は、あなた自身のものではない。それどころか、ヒトの細胞でさえない。それは細菌(バクテリア)の細胞なのだ。目には見えないが足の指の間で増殖の機会をうかがっている菌類から、腸の中の1キログラムにもおよぶ細菌類に至るまで、さまざまな要素を考えると、われわれ人間は歩く「超有機体」であり、ヒトの細胞と菌類、細菌、ウイルスが高度に絡み合った存在とみるのが、最も適切なとらえ方と言えるだろう。」と、あります。
さらに忘れてならないのは、人間には他の動物よりはるかに発達した脳と心を持っていることです。
心がどこにあるのか?遠い昔からの謎です。心と身体は、対比し、別々のものという考え方もあります。
一方、脳が心をつくりだすという説もあり、脳=心という考え方を持った学者もいます。
私は、心は脳を介して身体と結びつくという立場でいます。脳から非常に複雑な心がすべて生まれるとは、考えにくいのです。
それはともかく、十数年前なら考えられないほど心のあり方を重要視するようになって来ました。
今や医療業界でも、心と体の関係を軽視する医学者は少ないようです。
見えない世界「心」は、人間の健康状態に密接に関係しています。人間を語る上には、この心も上記に述べた、ヒトゲノム、細菌等との相互関係も必要になってきます。さらに様々な外部環境との研究も必要でしょう。
このように考えると人間の解明は、気の遠くなるほど先になるかもしれません。現状、人間は、人間を完全に人工で作ることも、人間自体を理解することさえできません。
私たちは、人間が外見だけでなく、目に見えない部分も含め、非常に複雑な多重構造の超有機体であることをしっかり認識した上で、その神秘な身体を健康に維持していく術を考えるべきではないでしょうか。