細川式トータル健康法

コラム5 美肌ピラミッドと肌のトラブルを改善する食事

美肌ピラミッド
肌のトラブルを改善する食事療法
肌をきれいにする食事

美肌ピラミッド

美肌ピラミッド

「健康ピラミッド」を下に押し付けたような形にし、
さらに3つのピラミッドを重ねると、「美肌ピラミッド」の完成です。

美肌ピラミッド拡大

この他にも、このように健康ピラミッドの上にいろいろなものを乗せて、様々なピラミッドができます。
つまり、健康であれば、どんなことでもできるということです。

特に美肌は、健康と直接かかわってくるものです。
外側だけの美容では、すぐにメッキが剥がれてしまいます。
健康でなければ、美肌は成り立ちません。その健康維持も、何度も申し上げているとおり、トータル的なものでなくてはなりません。

一般に言われている美容の専門的な技術等は、その業界のスペシャリストにお任せするとして、ここでは、美肌の土台となる「トータルな健康」という視点から考えてみましょう。

肌のトラブルを改善する食事療法
皮膚の構造と注意点

健康な肌は、なめらかでみずみずしく弾力があり、透明感があって、きれいなピンク色です。赤ちゃんの肌がそれです。とりわけ、顔の肌は気になるところでしょう。ところが最近は、赤ちゃんから大人まで肌の汚さが目立つようになって来ました。肌をきれいにするために涙ぐましい努力をしても、思うようにきれいにならない人ばかりです。肌がカサカサに荒れたり、シミ、そばかす、くすみ、吹き出物、湿疹など、赤ちゃんの肌とは程遠い状態です。こういう人は、年とともにしわやシミも早く現れてきます。

様々な皮膚トラブルの原因は、生活習慣によるものと病的なものとがあります。皮膚の疾患がある場合は、適切な対処が必要です。生活習慣の中に原因がある場合は、生活を改めることで解消されます。

身体全体を包む皮膚組織は、外部環境から身体内部を保護し、体温調節、呼吸、吸収、分泌、排泄、など多くの機能を持つ重要な器官です。皮膚の組織は、内臓と同様すべて細胞で構成され、表皮、真皮、皮下組織の三層からなります。

外界に面して最前線で内部組織を守っている表皮は、0.2mmほどの厚さで5層構造になっています。主に、角層と、角質を造る角化細胞です。表皮の最も下層(基底層)で常に新しい細胞が造られ、順に表面に押し上げられていきます。表面に移行してきた細胞は、やがて活動を停止して角層になり、皮膚組織を守る役割を担うことになります。角層は、外側から順に一枚ずつ剥がれ落ち、新しいものと交代していきます。基底層で細胞ができて、剥離するまで40~50日かかります。このサイクルが滞りなく順調に進んでいると、肌はいつも新鮮さを保つことができます。

基底層には、メラノサイトという色素細胞があり、紫外線から皮膚細胞を守るためメラニン色素を生成しています。メラノサイトは、紫外線、化学物質(化粧品、洗剤etc)、活性酸素、過酸化脂質、血中毒素、などの過度の刺激を受けると、メラニン色素を過剰に産生してしまいます。その上、血液やリンパの循環が悪いと、代謝が衰えてメラニン色素が表皮の底へ蓄積してしまうことになります。これが、シミ・ソバカスです。

イラスト-調和皮膚組織の細胞は、コラーゲンという弾力性のある糸状のたんぱく質で互いに結びついています。コラーゲンの隙間を、栄養成分を多量に含んだ体液が流れています。コラーゲンが硬く萎縮してくると、体液の流れが悪くなり、皮膚組織全体が萎縮して弾力をなくなり、肌のみずみずしさを失い、しわが目立つようになります。

にきび・吹き出物は、血液中の過剰な脂質やたんぱく質の代謝産物などが、老廃物と共に皮脂腺に溜まって化膿したものです。

肌荒れは、角質細胞層がしっかり整っていないために、肌がもろくなり、乾燥してかさかさになって、みずみずしい弾力を失っている状態です。

表皮の基底層で生まれた角化細胞は、約2週間で角層になっていきます。このとき、老廃物・活性酸素・アレルギー物質などが基底層のケラチノサイト(角質細胞を造る細胞)を刺激すると、異常増殖をしてもろく質の悪い細胞を形成し、角層が出来上がることになります。本来、角層は強靭なタンパク繊維が何重にも層をなしてできているものです。顔の皮膚は10層、まぶたは7~8、身体の大部分は14~15、足裏は50~100層が重なっています。それぞれの角質細胞の間には、脂質の層(細胞間脂質)で充たされて、バリア機能を果たしています。このような角層の構造は、弾力と強靭性と保水性を備えています。角層がもろくなり、さらに細胞間脂質が不足してくると、水分が体外へ蒸発して硬くはがれやすくなります。角層が表面まで移行して剥離するまで約2週間かかりますが、このサイクルが早くなって角層が薄くなることもあります。こうして、皮膚のバリア機能が失われていきます。

皮膚組織の細胞の基本構造や基本機能は、体内細胞と同じです。代謝が盛んに行われていれば、細胞は常に新鮮でいきいきしています。赤ちゃんの肌がきれいなのは、代謝が活発なためです。代謝のカギは、血液の質です。皮膚組織に良質血液が充たされていれば、代謝が活発になり、肌はイキイキとして美しさを保つことができます。

血液の質を改善するには、食事を改善する外に方法はありません。『食』イコール血液です。外からどれだけ優れた化粧品をつけても、表面的に多少の変化があるだけで、皮膚細胞の質は良くなりません。化学物質の化粧品を塗れば、皮膚細胞はもろく硬くなり、老化を早めてしまいます。

洗顔にも注意しないと、肌をいためることになります。肌の汚れを落とすには、天然の石鹸か、発酵エキスの洗顔クリームが適しています。石鹸を手の平でよく泡立てて、この泡をそっと肌に塗り伸ばします。そのまま1~2分置いてから、ぬるま湯でよく洗い落とします。こうすることで、汚れをもっともきれいに落とすことができます。けっして肌を強くこすってはいけません。洗顔後は、洗い落とした油分と、酸性成分を補っておきます。人体の皮脂成分に最も近い親和性の高い油脂は、椿油です。酸性成分は、木酢、竹酢、ヒバの樹液、食酢などを100倍に薄めたものが適しています。洗顔に水道水をそのまま使うと、肌をいためます。浄水器を通した水を使うのがベストです。

粗い粒子が入った洗顔クリームやピーリングなどで、皮膚表面の角層を削り取って物理的に滑らかにする方法がありますが、これは大変危険なことです。いつまでも続けると、肌は薄く弱くなり、荒れて変色し悲惨な状態になります。

また、紫外線を過度に浴びないよう注意が必要です。しかし、紫外線を恐れて日光に当たらずにいると、体力・免疫力が衰え、自律神経が不安定になり、肌の老化が進みます。日光を適度に浴びることは、健康にとって必要不可欠なことです。どんなことでも、過剰も不足もなく、適度なバランスが重要です。

肌をきれいにする食事

イラスト/食べもの余計な食物を摂らず必要最小限のものにして、小食にしていれば肌はどんどんきれいになっていきます。

特に肌を傷めるものは、
動物食品(肉、魚介類、乳製品、卵)、油脂類、精製糖類(白砂糖、粗目、乳糖、果糖、ブドウ糖、還元糖)、加工度の高い物(化学物質多含の物)などです。

動物食品は、腸内で有害物質を発生し、これが吸収され肝臓に負荷をかけます。血液中にも吸収され、全身に運ばれてトラブルの原因になります。

また、飽和脂肪から過酸化脂質やケトン体が発生します。油脂類は、植物性であっても、体内での処理が不完全に行われた場合、過酸化脂質やケトンを造り出します。精製糖類は、乳酸、ピルビン酸、活性酸素を生み出します。化学物質は、肝臓や神経系に負荷をかけ、活性酸素の過剰生産を促します。

これらの有害物質は、皮膚組織へ運ばれて、メラニン色素の過剰生産や表皮細胞の障害を起こします。長年続くと、皮膚細胞全体の老化が進んでいきます。

食生活の中で、主食は最も重要です。主食の質が、血液の質を大きく左右します。良質な種子を主食にすることで、血液を造る成分の大半を摂取することができます。

主食は、生きた穀類がベストです。穀類の中でも、特に米の成分バランスが優れています。玄米を、適切な炊き方で摂るのが、最良です。

穀類を粉末化し、パン・麺・菓子などにしたものは、控えめにします。種子である穀類は、全粒の生きた状態であれば、栄養成分は活性のまま保たれます。これを細分化して粉末にすると、その時点から酸化・変性が始まり、活性が低下し、場合によっては有害になることもあります。

主食の質が良ければ、野菜や海藻からビタミンとミネラルを補えば、必要な栄養成分は網羅されます。野菜は、自然栽培の良質なものを選びます。陰陽のバランスを崩さないようにすることも大切です。

基本を整えた上で、ミネラル(特に亜鉛、カルシウム、鉄)、ビタミンC、ムコ多糖類を、多く摂ります。また、肝臓、腎臓、脾臓、小腸の機能を高め、ホルモン分泌を促し、脂質と水分の代謝を活発にし、血液とリンパの循環を良くするものを積極的に摂るようにします。

◎ 肝臓、腎臓、脾臓の機能を高めるもの

   葛、フノリ、タンポポ、玄ハトムギ、ゴマ、ダイコン葉、ニラ、モヤシ、
   ヨモギ、干椎茸、ニンジン、ニンジン葉、サトイモ、ナツメ、プルーン、
   自然薯、黒豆、レンコン、蓮の実、クルミ、カボチャ、ゴボウ、コマツナ、
   ギンナン、ブラウンマッシュルーム、キクイモ、ネギ根、アワ、栗、納豆、
   キクラゲ

◎ 小腸の機能を高めるもの

   発芽玄米、葛、フノリ、ニラ、キクラゲ、ゴボウ、ゴマ、納豆、たくあん、
   梅干、浜納豆、味噌、醤油、たまり、ブラウンマッシュルーム

◎ ホルモン分泌を促進するもの

   葛、タンポポ、ヨモギ、ブラウンマッシュルーム、ギンナン、カボチャの種、
   ギンナン、松の実、ヒマワリの種、蓮の実、発芽玄米、花粉

◎ 血液とリンパの循環を促進するもの

   葛、タンポポ、味噌、醤油、ネギ、タマネギ、ニラ、ワケギ、ニンニク、
   ラッキョウ、キクイモ、カボチャ、粟、セリ、そば、ホウレンソウ

◎ 脂質と水分の代謝を促進するもの

   玄ハトムギ、キクイモ、ネギ根、カボチャ、ダイコン、シュンギク、
   トウガン、ハクサイ、フノリ、アラメ、トウガン、ハクサイ、ホウレンソウ

◎ 亜鉛を多く含むもの

   カボチャの種、松の実、エンドウ、大豆、そら豆、レンズ豆、そば、
   小麦(全粒)、くるみ、ニンニク、干し柿

◎ ビタミンCを多く含むもの

   菜の花、ブロッコリー、カボチャ、カブの葉、カリフラワー、ニガウリ、
   ホウレンソウ、サヤエンドウ、サツマイモ、キャベツ、モヤシ、
   茎ニンニク、カイワレ大根

◎ カルシウム、鉄分を多く含むもの

   海藻

◎ ムコ多糖類を多く含むもの

   フノリ、キクラゲ、モズク、ワカメ、アラメ、サトイモ、イチョウイモ、
   ツクネイモ、自然薯、納豆、亜麻 

※よく咀嚼することは、肌をきれいにすることにつながります。あごを動かす刺激によって、唾液腺からホルモンが盛んに分泌され、細胞の代謝が活発になります。

※午前中は、消化器を休めておくと排出機能が上がり、体内の老廃物が効率よく排出されます。皮膚組織の中に溜まっている老廃物が排除されると、皮膚細胞の働きが活発化してきれいな肌を造ります。

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