田七人参とは


田七人参とは

田七人参は、中国の雲南省から広西省の一部に生息する、稀少な薬草です。
環境の厳しい高山に育ち、大地の養分を吸収し尽くして成長するため、収穫後の土地は、その後十年以上、雑草すら生えないほどに痩せてしまいます。
田七人参が大地から吸収したパワーは、豊富な栄養成分に凝縮され、その根は、漢方では最高級の分類に入る貴重な生薬として活用されてきました。
高麗人参と同じウコギ科の植物ですが、色は黒褐色で、固い石の塊のようにごつごつしています。種を蒔いてから収穫できるまで、3年〜7年という長い年月がかかるため、量産することができない、稀少で貴重な薬草です。

田七人参の名称の由来

田七はまたの名を「三七」「田三七」ともいいますが、その名称の由来にはいくつかの説があります。

  • 昔、中国国内の「田七」人参の集散地が広西省の田陽、田東であったことから、その地に縁のある名称とした説。
  • 田七が収穫できるようになるまでに3~7年かかるところから、そうよばれるようになったという説。
  • 田七の葉の形態が、、葉の茎が三つに分かれて、葉が七枚ある容姿をしているから、「三七」人参と名づけられたという説。
  • 止血効果が高いことから「漆のように傷口を癒合する」ことから、山漆(サンシツ、サンチ)と呼ばれていたという説。
  • また、お金にも換えがたいほど価値が高いという意味から「金不換」(キンフカン)の異名を持ち、不老長寿の秘薬として珍重されてきました。

中医学からみた田七人参

中医学(漢方)では、人間の体も自然の一部として捉えています。
ですから、西洋医学のように、局所的な見方や考え方で治療を行うのではなく、
病気や症状を体全体の問題として考えます。人間の自然治癒力を高め、体全体のバランスを回復させることが、病気や症状(自然と不調和な状態)を治していくことにつながるのです。
こうした中医学の理論に従って、処方されるのが漢方薬です。
生薬は、植物、動物、鉱物などをそのまま、または簡単に加工したもので、田七人参も生薬の一つです。
漢方薬は、症状に合わせて複数の生薬を組み合わせた方剤です。
西洋医学の薬品のように局所的に即効性を期待するものではなく、時間をかけて、体全体を自然な状態に戻していくものなので体に優しく、中でも田七人参は『上薬』と言われる通り、副作用のない不老長寿の薬として扱われてきました。

【副作用のない貴重な生薬】

中国最古の薬学書「神農本草経」は、365種の植物・動物・鉱物を薬として紹介し、それを上品(じょうほん)・中品・下品に分類しています。
上品は、養命薬(生命を養う目的の薬)で「無毒で長期服用が可能。身体を軽くし、元気を益し、不老長寿の作用がある」。
中品は、養性薬(体力を養う目的の薬)で「使い方次第では毒にもなるので注意が必要。病気を予防し、虚弱な身体を強くする」。
下品は、治病薬(治療薬)で「毒性が強いものが多いので長期にわたる服用は避けたほうがよい。病気を治すために用いる」とされています。
田七人参は、副作用のない『上品』として記載されています。科学的な資料や統計データのない数千年前からすでにその薬効が知られ、活用されていたわけです。

 

田七人参の成分

田七人参には天然の主成分である「サポニン」を中心に、多くの機能性成分、栄養性成分がバランスよくたっぷり含まれています。

【機能性成分】

・田七ケトン(血中コレステロールや瘀血を除去・止血作用)
・デンシチン(止血作用)
・フラボノイド(冠状動脈を拡張し、血管の弾力性を高め、血液をサラサラに)
・有機ゲルマニウム(酸素不足を補う・インターフェロンを誘発し、ウイルス感
染を防ぐ・抗癌作用)
・アセチレン化合物(腫瘍を抑制する)
・アルギニン(成長ホルモンの分泌促進、免疫機能の向上、脂肪代謝の促進など
に関与するアミノ酸・強壮効果、婦人病、肝炎に効果が期待される)
・植物ステロール(血中コレステロールを減少させる)
・パナキサントリオール(筋肉での糖代謝を改善し、血糖値を下げる)

【栄養生成分】

食事だけでは摂取しにくいとされるビタミン類
(ビタミンB群・ビタミンE・フィロキノン(ビタミンK)・葉酸)、
ストレス等で不足しがちな天然ミネラル
(リン・鉄・カルシウム・ナトリウム・カリウム・銅・亜鉛・マンガン)。

田七人参は、まさに大地のエネルギーと栄養分を凝縮した「大地の恵み」といえるでしょう。

 

薬効の主役「サポニン」について

サポニンとは、植物の根、葉、茎などに広く含まれている配糖体の一種で、苦みのもととなる成分です。田七人参の働きの中心をなす成分で、田七人参や高麗人参などのウコギ科の薬用植物、大豆やそら豆などのマメ科の植物、茶、ニンニクにも多く含まれています。
機能としては、肥満予防、コレステロール抑制作用、抗酸化作用、抗アレルギー作用、免疫力向上、糖尿病予防などの効果が期待されます。

【サポニンの浸透性】

サポニンは、その水溶液が泡立つ性質(発泡作用)を持つことから、シャボン(石鹸)を語源に名づけられました。実際、サポニンには、分子の中に水になじむ部分(親水性)と油になじむ部分(疎水性)とが共存しているため、石鹸と同じように油を溶かし、水で洗浄できる界面活性作用があります。この界面活性作用は浸透性が非常に高く、サポニン自体はもちろん、他の成分も一緒に体内へ浸透させることができます。サポニンと同時に摂取することで、さまざまな成分が体の隅々まで行き渡りやすくなるのです。

【サポニンの相乗効果】

サポニン単体では、その「力」を100%発揮することができません。
サポニンについて大手製薬メーカーの協力のもと独自の試験を行ったところ、サポニンの成分単体のみを取り出して試験を行っても数値にほとんど変化は現れませんでした。実際には、サポニンだけでなく、その植物に含まれる他の成分と一緒になって初めて数値に変化が現れることが分かりました。つまり、サポニンだけでなく、他の成分も合わせて摂取して初めて意味あるものになるわけです。
サポニンを活用するためには、植物の成分まるごと摂取する必要があるのです。

【田七人参のサポニンの特徴】

田七人参には、高麗人参(朝鮮人参)の4倍以上のサポニンが含まれていて、現在判明しているだけでも32種類が確認されています。

 

良い田七人参、悪い田七人参(良い田七人参を選ぶコツ)

【原料】

原料の田七人参の大きさ、何年根のものか、どのサイズの原料を使っているかを表示してある商品を選ぶことは大切ですが、一番重要なことは、まず生産地、生産工場、農薬使用有無などの情報が明示してあることです。
なぜなら、中国での漢方薬の栽培において、まだまだ農薬を使用している粗悪な原料を使用したものが多いからです。
残念ながら、原料の田七人参に対する調査や公表は一切義務がありませんし、表示義務も成分的な含有の規制もありません。漢方自体は素晴らしい薬効があったとしても、薬効より使われている農薬等の毒性の方が強い場合は、身体に良いと言えるでしょうか。

【成分】

田七人参が含まれていても、微量では意味がありません。
粉末・錠剤・ドリンクなど、どの製品でも、田七人参の含有量がきちんと表示されているものを選ぶことが大切です。

【加工】

中国での加工品は粗劣原料を使用する場合があります。
日本国内での加工品は、中国での加工より安全性は高いですが、原料自体が特定できるかどうかも合わせてチェックしましょう。

【表示】

原料、成分明細、加工地などの表示があるかどうかが、安全な田七人参を選ぶチェックポイントです。
※できれば、製造会社のホームページ等などで、製造工程がはっきりと示されている商品を選択するのが望ましいです。