1、漢方とは
「漢方」という言葉から連想するのは、「漢方薬」とか「中国4000年」とかが、普通でしょうか。しかし、残念ながら、「漢方」は、日本古来の医療法なのです。
ご存知でしたか。
自然哲学に基づいた古代中国医学が日本に渡り、日本の風土や気候に合わせて発展しました。漢方薬、鍼灸やあんま、気功、薬膳などは、東洋医学のジャンルで知られていると思われます。「医学」「薬学」「養生学」のすべてを含んで「漢方」は成り立っているのです。
漢方は、予防医学の見地から日本の風土に根付いてきました。自分で自分の身体を管理して、未然に病気を防ぐ。食事や睡眠、運動や働き方など、日々の習慣において自分の心と体に向き合う事こそ「漢方」の根底に存在するものなのです。
2、漢方は、漢方薬にあらず
「漢方」=「漢方薬」ではありません。
「漢方薬」は、あくまでも「漢方」における「医学」「薬学」「養生学」の一つに過ぎません。「漢方」が目指しているのは、私たち一人一人が生まれ持った「自然死湯力(生命力)」を高めていくことです。
最近よく耳にする言葉で「未病」というものがあります。
なんとなくだるい、疲れやすい、手足が冷える、食欲がないなどの不快な症状があるにもかかわらず、病院に行って検査してもらっても原因がわからない、病名がつかない場合をいいます。体から不快な症状というSOSが出ているのに、その手当ての仕方がわからない。そんな時、「漢方」があります。
「そこで、漢方薬か!」。
それも間違いではありませんが、むやみやたらに漢方薬を飲んだところで、この「未病」の状態は改善されることはありません。
3、漢方は、食から起するもの
では、まずなにをすればいいか。まずは、食です。
たとえば、手足の冷えから、体液やリンパの流れが悪くなり、排出困難になります。つまり、お小水がでなかったり、汗をかかなかったりを指します。これらをどうしていくかは、手足、身体の末端を温める食材を使った食事を取り入れます。
さらに、夏ならば、水分排泄を促すスイカなどを同時にとると、流れ始めた体液やリンパが、お小水になって外に流れていきます。
食べ物には、本来旬というものがあります。
お日様の光と土中を回る水だけで特出してできる作物の時期が旬です。現代では、ハウス農業が隅々までいきわたり、いつが旬かわからないようになりました。しかし、旬に旬の食べ物を食べることで、身体は回復力を増していきます。そして、旬だけでなく保存食として蓄えることで、一年中、予防食として、身体のために働きかけるのです。
「薬膳」というものをご存知ですか。
「薬膳料理」という特別なジャンルものは実はありません。日々の食事になにを取り入れるかを考えるだけで、必然的に薬膳になっていくのです。もちろん療養のための薬膳もあります。食事が自ずと「薬膳」に通じていくように、自然由来の材料を取り入れましょう。
「漢方」。それは、食から起するものでもあるのです。