5,気血水:私たちの身体を構成する3つの成分


1、「気」「血」「水」

私たちの身体を構成する3つの成分「気」「血」「水」と漢方の基本理論では考えます。

「気」は、生命エネルギー。
「血」は、血液とその動き。
「水」は、体内の血液以外の体液。

この3つがお互いに助け合って、コントロールし合い、密接に関連性を持ちながら全身を巡り、生理機能を育んでいます。

赤ちゃんの身体は90%の水でできており、老人でも50%は水です。大人の男性が60%で、女性が55%ともいわれます。血と水を、気で巡らしていくことで人は生きていられるわけです。バランスよく満たされていると、病気にならない身体というわけです。

逆に、どれかが足りなくなったり、巡りが悪くなって滞ると、心や体に不調のサインがでます。

2、気

「気」は、目には見えないけれど体内に満ちている人体の生命活動・機能の原動力です。「気」を誰しもが持って生まれてきます。よく励ましに「元気になってね」と使いますが、これは無理にはしゃげという意味ではなく、もともと持って来た「気」のままで素で生きていいということです。

「気」が不足している場合を、「気虚」と現わします。
風邪をひきやすかったり、疲れやすい。息切れがする、汗が乾きやすい(本人は無自覚のことが多い)。食欲がわかず消化も悪い。舌が白っぽく、舌の縁に歯の痕がついている。

「気」が滞っている状態を、「気滞」と言います。
気分が塞いで憂鬱になりやすい。のどや胸が常時使えてる気がする。お腹がはってガスが溜まりやすい感じがする。痛みの部位や強さが変わりやすい。生理前にイライラして固執の者ばかり食べてしまう。締め付けられるような頭痛。

3、血

「血」は、栄養や潤いを全身に送る血液のことです。
肌や髪、内臓を潤して乾燥を防ぎます。そして、視力や思慮なにも栄養を送ります。そのうえで、精神が安定するのです。
「血」が不足している状態を、「血虚」と表現します。

皮膚が乾燥してつやがない。視力低下や目の疲れ。めまいやふらつき、月経量が減少したり、遅れ気味(貧血を併発している場合があります)。こむらがえりや手足のしびれを感じる。爪が割れやすい。寝付けない持続して眠れないなどの睡眠障害。舌の色が白っぽく、舌の表面に亀裂が入っている。

「血」が滞っている状態を、「淤血」と言います。
唇の色が暗く、紫色もしくは青っぽい。生理痛があり、塊になった出血をする。肩こりや腰痛があり、痛みの部位はいつも一定箇所。しみやあざができやすい。下半身は冷えているのに、上半身は逆上せやすい。舌が、青紫色で、舌の表面に暗赤色の点々が出る。

4、水

「水」は、リンパ液や唾液、汗や尿、涙など体内にある様々な水分のことです。内臓や肌、髪を潤し、間接の動きなどを滑らかにします。

「水」が、不足している状態を、「津虚(しんきょ)」と書きます。
口が絶えず渇く。皮膚が乾燥してカサカサしている。便秘又はコロコロ便。舌が薄く痩せていて、乾燥している。舌苔(舌の苔)が乾いている。

「水」が、滞っている状態を、「水滞」と言います(乳がんなどで、腋リンパを郭清している人も、似たような症状になります)。

身体が重く、むくみやすい。頭が重く痛い。軟便もしくは下痢気味。鼻水や鼻づまり。朝方に、手足の指や関節がこわばった感じがする。湿気や雨に弱い。舌が大きくて腫れぼったい。舌が唾液に覆われていたり、舌がべっとりと厚ぼったい。

 

この「気血水」の症状を緩和するために、鍼灸などツボ、経絡を刺激して全身を巡らせる方法があります。鍼が怖いと言う方がいますが、髪の毛よりも細い鍼ですので、どこに刺されたのか気が付かないうちに終わってしまうことも多いです。身体に負担をかけるような余分な水分を排泄することに優れた効果を発揮する治療法です。

≪4.陰陽と五行   6.食材の五性≫